今年はだいぶ発生が遅れました。6月に入ってようやく数が揃ってきた感じがします。雪解けが遅かったことが影響しているのは間違いないでしょう。鶴岡市内でも地面が露出して、ムラサキケマンの芽を確認したのは4月に入ってからでした。
その後幼虫を確認できませんでしたが、蛹になったのは5月の連休過ぎだったと想像します。成虫を見始めたのは20日過ぎです。
ハルジオンの花も同様に遅れて、やっぱりウスバシロチョウのメインの吸蜜源となっております。
幼虫の巣を確認してから10日。
自宅から30km離れたこの場所に通うこと3度目にして、ようやく成虫の発生を確認しました。
初めて見る虫に「うわっ、いた!」と、まるで子供のような自分でした。
最初はせっかく見つけたのに逃げられたらイヤだと、離れたところから恐る恐る撮っていましたが、
次第にそれほど敏感な虫ではないことが分かってきました。
長いトゲ状の突起は小楯板の一部であることも、しっかり確認できました。
羽化直後のようです。
巣からまず幼虫が出て、そこで皮を脱いだ様子が見えてきます。
複眼はグレーで完全ではないようです。
まだボンヤリとしか見えていないんじゃないでしょうか。
かがくナビ「今週の自然だより」にも記事を書いています。
ぜひこちらもご覧下さい。
そうか、こんなやつだったか。。。
昨年はいくらか意識してまわっていながら、全然見られなかったマグソクワガタです。気がついたら、目の前に多数飛び交っておりました。見つかるときはこんなもの。
まるでクワガタに見えませんが、触角にややそれらしき特徴が見えます。
現場はこんな環境です。山あいの小川の岸辺に、細い流木やらススキの枯れ枝やらが積もっていました。
一時は10匹以上がこの狭い空間にふわふわ舞っていましたが、
カメラを持って戻ったときには、静かになっていました。
やはり、カメラは常に持ってチャンスに備えなければなりません。
さらに、帰宅してからもう一つ失敗に気づきました。
どうも撮影したのは雄ばかりのようです。
しまったな〜雌雄の特徴をチェックしていなかった。。。
ところで、現在、一週間ハイスピードカメラを試用中です。
Photron社のSA2、昨年秋にもお借りした機種です。
今回に合わせて小型液晶モニターを購入しましたが、これが大正解!Cineroidという韓国の会社のもので、とっても気に入っています。
天候が今一つで苦戦中ですが。。。
薄暗い杉林の中を流れる小さな流れを遡っていくと、明るく開けた場所に出ました。そこで見た一匹のサナエトンボ。
ヒメクロサナエ、雄です。
フキの葉にとまっていたところを近づいたらパッと逃げられ
あれ〜と思っていたら、近くのハナウドにとまってくれました。
それほど警戒心が強くもないようです。
あまり気にしていないようです。
キョロキョロと、上空の虫を眼で追ったりしていました。
樹皮がはげてしまって明るく目立っているのがいいのでしょうか。
でも、ルリタテハのように執着することはないようです。
一度飛び立ったら、もう帰ってきませんでした。
再び薄暗い林の中に入ると、カワトンボが何匹も飛び立ちました。
日だまりで虫をねらっているようです。
私の眼にも、アブやハエ、ユスリカのような小さな虫が、木洩れ日に照らされて、たくさん飛んでいるのが見えます。
ガガンボを捕まえて食べるカワトンボ。
見ている前で、ガガンボの長い脚がポロリポロリと落ちていきます。
それにしても器用なものです。
脚もつかわず、口だけで食べています。
庭のバラに産卵するチュウレンジバチを見つけました。
ハサミで枝を切っても産卵を続けていましたから、そのまま室内に持ち込んでビデオ撮影しました。
風の影響がないので、詳細がよくわかります。
特に一回目のアップ映像。2枚のノコギリ刃で産卵孔を広げている様子が見えて面白いです。
大きな池のまわりを歩いていると、羽化したてのトンボがとまっていました。ヨツボシかな・・・と近づいてみると、どうも感じが違います。トンボに疎い私でもトラフあるいはオオトラフのように見えます。
あとで自宅に戻って調べたらオオトラフトンボと確認できましたが、とにかく今までろくに縁がなかったトンボに違いありません。少々興奮気味に色々撮影しました。
ところが・・・
気がつくと、そこらじゅう抜け殻だらけです。
水際から1mほど離れた草にはいあがって羽化しています。
そればかりか、なんとまだ羽化途中で翅をのばしているものまでいました。もうお昼過ぎだというのに!
あとで調べてわかりましたが、オオトラフトンボは 午前中の明るい時間に羽化するとのこと。
この場所、今までも多かったのでしょうか?
とにかく数の多さに驚きました。。。
オオバボダイジュの枝に、ムネアカアワフキの幼虫の巣そっくりの物体をいくつも見つけました。
5mmほどの長さの筒状の物体。
タケウチトゲアワフキの幼虫の巣に間違いないでしょう。
探しはじめてすぐの事。あっさり見つかってしまいました。
固そうですが、爪の先でひっかくと、簡単に欠けてしまいます。
もう成虫が出ていてもいい頃のはず。
しばらく探してみたのですが、付近にそれらしき姿はありませんでした。
↓右の写真の巣からは、何やら怪しい粘液がしたたっております。
中の幼虫がどういう動きをしているのか非常に気になりますが、巣を壊したところで、きっと何もわからんでしょう。
でも、もう少しあとにここに来れば、確実に成虫を撮影することができるでしょう。
楽しみです!
自分が子供の頃に見ていた図鑑では、確かに「ハギツルクビオトシブミ」だった虫です。
いつのまにエゴツルクビオトシブミに変わっていたのでしょう。
ハギを巻かないのに、ハギツルクビ〜なんておかしい・・・と、正しく修正がされたということなのでしょうけど、
そうなると、もともとが何故ハギ〜などと名づけられたかが気になります。
今、エゴノキはつぼみが膨らんできたところ。
エゴツルクビオトシブミは、この頃にまず揺籃づくりの一回目のシーズンがありますが、6月の末頃にもう一度、揺籃づくりをしているのを見ます。
雄も雌もやっているようですが、葉上や葉裏にとまって、「気をつけ」でもしているような、ピンと緊張したポーズで静止しています。
私が近づいてきたから、こんなポーズをとっているんでしょうか?
でも離れたところから、この姿勢をとっているのを確認してもいます。
まっ黒でよく目立つ甲虫ですし、擬態ポーズというわけはないでしょうし・・・わかりません!
ヒゲナガオトシブミもこんな習性があったように思います。
こちらも間もなくシーズンスタート。
よく見ておきましょう。
何だか妙なヤツらが、モクセイ科の植物の葉を食べ荒らしておりました。
大小様々いますが、大きいものは1cm弱といったところ。
体色は鮮やかな黄色。
表面は透明な液体におおわれていて、 ぬらぬら〜と光っています。
まっ黒な頭がありますが、脚がどうなっているのかよくわかりません。
脚は・・・ないのでしょうか?
う〜ん、私の苦手なタイプの昆虫です。
糞もべたべた葉上に残したままで、だらしないヤツら。。。
でも、以前より何度となく見ている虫で、正体はわからないままです。
写真で持ち帰って、1つ調べてみようと思いました。
最初はハムシの幼虫かと思ってネット検索を続けていましたが、どうもひっかかってきません。脚がないんだからゾウムシはどうだろう・・・と調べはじめたところ、すぐに「アカタマゾウムシ」のとってもよく似た幼虫の画像がひっかかってきました。
食樹はヤチダモとあります。うん、どうやらこれらしい。
少なくとも、これに近縁のゾウムシと見て間違いないでしょう。
脚の構造はイラガの幼虫なんかに近い感じです。
アップ画像を見続けているうちに、何かに似ているなあ・・・と思いはじめました。
「何か」って何だろう?
しばらく考えていましたが、やっと思いあたりました。
モモ缶です。缶詰の黄桃です。
何とも悪い事を思いついてしまいました。。。
宮城県内を走行中、視界の隅にピンクの花がチラッと見えました。あの色は・・・・
気になって戻って見ると、確かにそれは懐かしいレンゲの花の色でした。
小諸にいる頃は、上田や丸子、佐久で時々見かけては、撮影に入らせてもらったものです。おとなり群馬県の安中にもありました。でも、山形ではまだレンゲを見ていません。
宮城県内にはよくあるんでしょうか。
すごく久しぶりで、それだけで嬉しくなってしまいました。
夕方でしたので、ミツバチはもういないかなあと思いながら、
ちょっとお邪魔させてもらいました。
結構、広いレンゲ畑ですが、所々に、黄色いハチの姿が見えます。
ニホンミツバチもセイヨウミツバチも、一ヶ所あぜ道に座っていれば、近い所にもやってきてくれました。
数は多いようです。
自分の近くにもレンゲ畑が欲しいなあと思いました。
小諸で海野さんがやっていたように、自分の庭の一角やプランター1つあるだけ でもいいでしょう。
今年はもう遅いですが、来年は是非やってみたいと思います。
鮮やかなオレンジ色のハバチが、エノキの若芽の周りを飛んでいました。小型のマルハナバチくらいの大きさがあって、おまけに黄色と黒の模様はアシナガバチなどを連想させます。
ハバチとわからなかったら、刺されるんじゃないかと身を引いてしまうでしょう。
このハバチの名はホシアシブトハバチ。幼虫はエノキの葉を食べて育ちます。まだ半分くらいしか開いていない若葉を見つけて産卵にやってきたようです。
そのまま見ていますと、すぐに若芽にとまってじっと動かなくなりました。風が強いので大きく揺られてよくわからないのですが、お腹を葉柄あたりにくっつけて、何だか小刻みにふるえているようです。
バラの枝に産卵するチュウレンジバチのように、刀のような産卵管で傷をつけているのでしょう。卵は植物の組織内に産卵されます。
アップで撮影した写真には、産卵管らしきものも見えています。
一度産卵を始めると、5分くらいとまったまま。まとめていくつか産卵しているようです。
幼虫はイモムシ型で、粉をふいたようなまっ白な体色。くるっと丸まったようなとまり方で、少々気味の悪い幼虫です。半月くらい後に訪れたら、幼虫も撮影できるでしょうか。
深夜バスで東京より鶴岡に戻り、さて山形に出かけようと思ったのですが、家に着いてちょっと横になったら2時間ちかく寝てしまいました。とほほ。。。
でも目覚めたあとはスッキリ!やっぱり寝なくちゃダメです、私の場合。
それでもお昼前には山形市に移動し、さっそく目当ての虫を探して歩きまわりました。
2時間後、ようやく見つかった一匹です。
サクラの葉裏にとまっているそれらしき甲虫を見つけては、オッと顔を近づけるのですが、たいていはセモンジンガサハムシ。セモンジンガサハムシは50匹以上見たでしょうか。
昨年、タカハシトゲゾウをこの場所で見なかったらとっくに諦めているところです。この虫は本当に数が少ないのか、そうでなかったら別の場所にいるのでしょう。一匹でも見つかって、ホントによかった!
何度見ても不思議な後脚。ノコギリ状の部分はどう機能するものでしょう。
サクラの葉裏には小さなグンバイもいました。体長3mmくらいの非常に小さな昆虫です。
ナシグンバイという 種類で、ナシ・リンゴ・ウメなどバラ科植物につきます。サクラも同じくバラ科です。
アップで撮影していて、ふと気がつきました。
胸の背面が盛り上がっている。。。
恥ずかしながら、小さな虫なので気がついていませんでした。
横から見ると、まるで印象が変わります。
いつも背面からばかり見ていたものですから、この形はなかなか新鮮です。
ついでにサクラに見つけた昆虫もう一種。
アワフキムシは、多くは初夏に幼虫が泡の巣を作るのが見られますが、ムネアカアワフキの場合は、巻き貝に似た石灰質の巣を作り、越冬態も幼虫とのこと。
この成虫は羽化直後のようです。
写真の個体は雌。雌は前胸と小楯板が赤く、雄は小楯板のみが赤いそうです。もっとよく探せば色々撮影できたなあ。。。
鶴岡に戻って調べながら、ちょっと残念な気持ちになりました。
そして、ついでに思い出したタケウチトゲアワフキの存在。おや?表題の昆虫の名前と字面がよく似ておりますねえ。
オトシブミの季節が始まりました。
まず第一波はケヤキの葉を巻くルイスアシナガオトシブミです。
揺籃は、まだ海岸沿いの山の中で1つ見ただけですが、まもなく凄いことになるでしょう。
ルイスも揺籃を切り落とす、切り落とさないの両方のパターンがあります。
庄内ではどうなのか、まだよく見ていません。今年は注意深く見ていこうと思っています。
ケヤキの葉はまだ開いている途中で、半分ほどにも成長していません。
ルイスアシナガオトシブミもまずは若葉を食べて、これからに備えているところと思います。
下から見ると、風にゆれる若葉の裏、所々に止まっているのが見えています。
越冬明けというのに、まるで羽化したてのような美しい甲虫です。
今の季節は、植物も昆虫も、何もかもが瑞々しく、見ているだけで楽しくなります。
今日もモンシロチョウを狙おうと思って河川敷に出たのですが、白いチョウはツマキチョウばかり。嬉しいんだけど残念なような複雑な気持ちです。でも、どうやら今日は、年に一度のツマキチョウの当たり日のようでした。
一昨年の4月29日がそうだったように、今日は一斉に雄が出たんじゃないかと思います。朝から気温が上がって、10時ですでに15℃を超えていました。
雄が蜜を吸っているのは何でしょう。タネツケバナとは違うような・・・とにかく、この花が好きらしく、何度か吸蜜シーンを見かけました。残念ながら、撮影できたのは、これだけでしたが。。。
足下から飛び立った一匹の雌。もしかしたら、羽化直後で翅をのばしていたところだったかも知れません。
すかさず、どこからかやってきた雄が追飛しはじめました。
藪の中だろうが、私もついていきます!
雄が追飛と書きましたが、写真を見ると、雄が先行して飛んでいるのがわかります。
アゲハやモンキチョウに見る行動と同じですね。
うまい具合に、開花したばかりのムラサキケマンの花の上に
落ち着いてくれました。
上が雄で、下向きになっているのが雌です。
もう5年以上前の事ですが、私は海野さんの東北取材についていき、太平洋岸のあるトンボの生息地を訪れたことがありました。汽水域にすむヒヌマイトトンボです。うっかりしたことに、震災直後は、そのあたり一帯が津波にのまれただろう事に全然考えがおよばず、やっと最近になって繋がりました。困ったことに、それ以来、気持ちが落ち着かなくて仕方がありません。
被災地に行くのはボランティア活動でだけと決めていましたが、現地の様子を自分の目で確かめに行くことにしました。そう思い立つのに、不思議なくらい迷う気持ちがありません。早朝の、まだ復興作業がはじまる前の短い時間に、さっと見てくるだけで十分でした。
そこは、海野さんが前の年に見つけられた場所でした。だいたいの場所を教えてもらい、自分の記憶と合わせて現地入り。変わり果てた光景に心もうばわれながらも、Google Mapでここじゃないかと当たりをつけていた場所に向かいます。何とも不思議な事ですが、現場に立った瞬間、ここに違いないとすぐに思うことができました。
29日。海野さんより、2004年7月撮影のヒヌマイトトンボの生息地の写真を送っていただきました。ブログに使ってくれとのありがたいお言葉。。。本当にありがとうございます!
川幅といい土手の雰囲気も間違いなさそうです。ただ、改めてかつての光景を見ると、遠方の家も電柱も木々も流されてしまったとは信じられず、今の風景とはなかなか重なりません。
確信を持つのは難しいと思っていたら、横で見ていた妻が、Google Earthのストリートビューから海野さんの画像に写っている住宅を発見してくれました。これで間違いなくその場に立っていたことを確信しました。
さて、再び現地の現在の様子。
なんと驚いたことに、川岸のアシは新しい芽を伸ばしていました。津波の影響がないわけではないのでしょうが、信じられないくらい普通に見えます。
かつて7月に訪れたときは、背丈よりも高くなったこのアシをかきわけ、ヒヌマイトトンボを探しました。まさかとは思いますが、今年も同じように高いアシ原がひろがった光景が見られるようになるのでしょうか。
肝心のヒヌマイトトンボの幼虫は、今どうしているでしょう。どうやら人の作った建造物よりしっかり地面に根づいているアシです。この根などにしがみついているすれば、ひょっとして生き続けていないだろうかと期待してしまいました。
津波は100%塩水ですし、それだけでも生きていられないと思いますが、わざわざ汽水域を好むあたり、私の想像などまるで及ばない強さを持っているかも知れません。
付近にはベンケイガニでしょうか、地中に穴を掘って活動しているものの存在もはっきりわかりました。