
鶴岡市の海沿いにドンと構えるT山。市民のいこいの場、気軽なハイキングコースとして人気があります。私も軽い気持ちでよく行くのですが、この日は少々怖い思いをしてきました。
今年は特に雪が深かったので、陰の方にはまだ結構雪が残っているのです。右の写真で雪が残っているのは、通常はブナの美しい楽しいハイキングコース。少々歩きにくいですが、ここを通っていけば、車を停めている位置まで最短で行けます。
実際、この景色に、危険は感じられませんでした。
ところがです。1つカーブを曲がったところで、これはどうかと足が止まってしまいました。結構深い雪が残っていて、見た目にも不安定そう・・・ですが前に誰か1人歩いたようで、はっきりと人の足跡があります。その足跡に勇気をもらって再び歩き始めました。

でも結局、途中でかなり弱気になってしまいます。その誰かの足跡の上に真新しい雪崩が通り過ぎた跡を見つけ、にわかにゾッとしてきたのです。今日は気温が高いんだもの、やばいことになってんじゃないかな、これ?ポーチにカメラをしまって、ひたすら歩くことに集中しました。
次の写真は、危険を脱したと思ったところで振り返って撮影したもの。実は、この2枚の間には、恐怖の瞬間がありました。

カラカラ・・・斜面の上の方でイヤな音がして見上げると、でっかい石が 転がってくるじゃありませんか!
でっかいと言ってもバスケットボールくらいですが、たった今、私が通ってきた雪の道を横切り派手にバウンドしながら転がり落ちていきます。距離7〜8m後方、結構な近さでした。
雪崩注意報が出ているような日は落石にも注意ということ、みなさん、気をつけましょう!

無事を確認した時は思わず「お〜 」と声が出てしまいましたが、さらに進むと、また別の「お〜!!」な光景。
なんとカタクリの早いものが花を咲かせておりました。
足下が崩れるのを怖れながら歩いた時に感じた自分の小ささ。穏やかに思っていた山に見た非情さ。すっかり怯えてしまった自分と比べて、カタクリは何とたくましいことでしょう。
斜面に引っかかるように、でもしっかりと大地に根を下ろして可憐な花を咲かせるカタクリに、かなわないなあと思いました。