Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

カテゴリー: 昆虫

  • イラガのマユ作り 微速度映像

    2010年9月撮影のイラガのマユ作り
    速度を80倍に早めて、テープ三本分を短くまとめました。

    これは単にマユ作り全体を短い時間で見ようというだけの試みではありません。
    速度を変えることで、長時間に渡る運動を単純化して、見えにくい動きを見ようとしています。
    その見えにくい動きとはズバリ、マユの模様はいつ作られるか、です。

    先日読んだ石井象二郎さんの「わたしの研究 イラガのマユのなぞ」は、多岐にわたってイラガのマユを研究された大変な労作で、子供向けの本ではありますが、私はとても感激しました。
    マユに早い時期に作られる丸い脱出口の秘密、そして固いマユの成分についてなど、本当にすごいです。
    あらためて昆虫好きの大人たち皆さんに読んで欲しいとも思いました。

    ただ、マユの模様のでき方については、石井先生の観察と自分の見方が違っていて、以来モヤモヤしたままです。
    石井先生は「白い液を少なくとも2回」「口から茶色い液を」出した直後に模様が浮き出てくることを観察されていますが、自分の映像を見ると、白い液は1回、茶色い液は確認できません。これは幼虫の向きもあるので、確かに見落としもあるかも知れません。
    そして、マユの模様につきかたについても、背トゲとマユの接し方で褐色部分の模様ができると推察されています。(うまく簡略できていないか・・・)
    でも、何度見返しても、そのような様子は見えません。

    自分の印象では、00:02:10;00付近から白い液が噴き出す00:02:28;03までの動きが、模様の形成に深く関わっているように思いました。
    それまでの糸吐きとはちょっと動き方が違っていますし、その後に浮き上がる褐色部分の模様(最初は透明)とダイレクトに繋がるように見えるのです。
    しかし、先日思いついた、あるタイミングで黒(褐色)になる糸を模様をつける意識のもとで吐きつけている、という感じには近いようなそうでもないような・・・頭をおおう固そうな部分で何かをはぎ取っているようにも見えます。
    このモヤモヤ感は当分続きそうです

    どう見えますか?

    もうすでに多くの方が石井先生の本を読まれたと思います。
    マユなんて1CMほどの小さなものです。この映像を見れば、マユ作りの過程について、先生がいかに丁寧に観察されていたか驚くことでしょう。
    先生はまた、自分の本を読んでどう思ったか、興味を持ったら更に調べてみてと呼びかけておられました。
    私もまだしばらくこの秘密について追いかけてみたいと思います。

  • カバタテハの卵

    伊丹市昆虫館で、超マクロ用にいいモデルさんないですかと聞いてみたら、それなら・・・と出してもらったのがこれ。
    肉眼ではわからなかったですが、ファインダーを覗いた瞬間に、おおっと声が出てしまいました。

    チョウの温室に飛んでいるカバタテハの卵です。
    タテハチョウの卵は長い毛のものが多いですが、これはまた特別な長さ。

    微動装置を持っていなかったので、10枚以上撮影し、適当な3枚を選んで深度合成しています。
    そうでないともっとボケボケ。

  • キイロテントウ

    緑の葉裏で越冬中のキイロテントウ

    胸には黒い一対の、まるで眼のような黒い紋があります。

    顔のアップ。本当の眼は複眼で、たくさんの個眼が見えます。

    前胸背も前翅もエッジは透明に張り出していて、頭部も一部透明なカバーにおおわれたようになっています。
    これを見るとカバー越しに外の様子もよく見えそうです。

  • クロスジホソサジヨコバイ

    昆陽池公園で見つけたクロスジホソサジヨコバイ。
    以前に東京で見た時はマクロが撮れる機材を持っていなかったので、残念な思いをしました。


    「マエムキダマシ」と名づけたのは糸崎さん? その遊び心、楽しくなりますね。。。
    前翅の先の方、つまりお尻の方にはっきりとした目玉模様があります。

    腹端の赤も、こちらに天敵の意識を集中される効果があるのでしょうか

    本当の頭側もアップ

    先日カメラを替えたことで、野外での超マクロも以前よりやりやすくなりました。
    といっても生きている虫では難しいことも多い。実践は今回が初めてで、厳しさもよくわかりました。
    数をこなして腕を磨こうと思います。

    幼虫もいました

    この虫、鶴岡では見つけたことがありませんが、他の東北の地ではどうなのでしょう。
    もし雪がダメなら仙台あたりでは見られないものか、気になるところです。

  • クサカゲロウの一種

    ヤツデの葉裏に越冬中のクサカゲロウを見つけました。

    これは複眼が綺麗そう。。。

    アップで1つ。2枚の画像を深度合成

    もう一つ。こちらは3枚から深度合成

    振動やストロボ光に驚いたのでしょう。
    触角を大きく揺らしてくれて、何枚も候補撮影したのに、深度合成に使える組み合わせは稼げませんでした。
    ただし、2枚とか3枚の合成でも、かなり有効であることを、確かめることができたのはよかった。

  • 超マクロ用カメラをチェンジ

    これまでE-520で撮影していましたが、今日からE-PL1に切り換えます。
    今まで何故試そうとしなかったのかと思いますが、超マクロの超まっ暗なファインダー像に、E-PL1の方が圧倒的にフォーカスしやすいことに、ようやくようやく気づきました。愚かでした。。。

    メニューをさわっていた時のことです。気になる項目を発見しました。
    LVブースト

    ONにしてびっくりです。超マックロだったファインダー像がパッと明るくなりました。
    これはスゴイ!今までの苦行のような撮影は何だったんだ〜。
    もしかしてLVがこの世に出てから、ずっと実装されていた機能だったのでしょうか?
    だとしたら、ますます恥ですが、まあ気づいてよかったとしましょう。

    (後に、E-520にもしっかりLVブーストがある事に気づきました。。。トホホ)

    これは先日鮭川村で採集したオオミドリシジミの卵

    撮影後に、何だかいつもより倍率が下がったように感じました。
    もっともなこと。フォーサーズと比べてマイクロフォーサーズではフランジバックが短くなるのですから当然です。
    フォーサーズ38.67mmに対して、マイクロフォーサーズ19.3mmとのこと。
    20mmの中間リングを追加すればOKです。

  • モルフォの鱗粉

    前日より鮭川村に。これから始まることに胸が躍ります。。。
    永幡さんとも随分久しぶりに会いました。夜に虫の声を聞きに行ったとき以来?

    標本箱を手にプレゼンされる彼の話にいつもながら流石だなあと感心しておりましたが、途中から標本箱の中身に雑念がむくむくと生まれておりました。そこに並んでいたのは10種ほどのモルフォです。
    モルフォの鱗粉!超マクロ撮影にはうってつけの題材です。
    休憩時間にお願いして撮影させてもらいました。

    レテノール・モルフォです。

    流石に美しい。まるで屋根瓦のように整然と並んでいます。

    角度を変えるとこうなります。鱗粉自体には色素がありません。
    美しい青は構造色で、鱗粉の表面に刻まれたミクロの溝が青の光だけを反射します。
    (↑かなり簡単に書きました。もっと複雑な仕組みです)

    横幅2mmの世界ではその微細構造はまるでうかがうことができません。
    もっとうんとミクロな世界です。

    ただ、鱗粉のはがれている辺りに面白い発見がありました。

    ギリギリ鱗粉のソケットが見えます。下はその部分拡大

    ソケットとは別に、乳白な感じの楕円形の物体が鱗粉の両肩を押さえているように見えます。

  • 繭の模様

    イラガの繭の模様をアップで撮影して気づきました。

    黒い模様は黒い糸の集まりなこと。
    濃い黒の部分より、黒がかすれたようになったところを見るとよくわかります。

    となると、幼虫は黒くなる糸と白くなる糸を使い分けて模様を作っているのではないでしょうか。
    そして大方決まったところで、白く泡を吹く液体を出して、模様を浮かび上がらせている・・・
    そう思えてなりません。
    あの模様は、偶然できるものではなく、幼虫がこう作ろうと考えて作ったもの・・・何だか楽しくなります。
    ただし・・・・想像ばかりではいけません。もう少し詳しく調べてみたいと思います。

    以前にYouTubeに載せたイラガのマユ作りの映像を、また再び紹介しましょう。

  • イラガ 繭の中

    丸くあいた穴から、中の幼虫を引っ張り出してみました。

     

    まるで生気がありません。
    前蛹とは分かってはいますが、だいたい今まで見ている前蛹って脱皮を前に細かく運動しているものです。
    触ればピクッと緊張したり何か反応してくれます。それがイラガの前蛹は全然。

    ピンセットでつまむと柔らかくつぶれて、そのままダラリと戻ってきません。
    これはもう死んでいるに違いないと、もう一つの繭からも引っ張り出してみましたが同じ状態でした。
    越冬であり、長期に渡る休眠で、代謝を極端に落としているのでしょう。

    お腹側もつるっとしていて、何がどうなっているやら・・・

    よく見れば六本の胸脚がわかります。頭部は肉角(?)に隠れてまるで見えません。

    気門のアップ

    ダランとしたままの幼虫は、またもとの繭に押し戻してみました。
    腹脚は粘着質で引っ張り出すときも苦労しましたが、もどすときも引っかかって困りました。

  • キノカワガ

    キノカワガの撮影に山形市の某所を訪れました。
    そこは前の冬に見つけたポイントで、一本のアベマキの木です。

    嬉しいことに今年も越冬中の姿を見せてくれました。それも1度に5匹です!

    キノカワガがとまっているのは、決まって真横に長くのびた太めの枝です。
    そして、必ず下側の、雪がかからない部分を選んでとまっています。
    雪国でのキノカワガの越冬スタイルはこうでないとダメなんだということなのでしょう。

    ここには2匹並ぶようにとまっていました。

    上の2匹を別カメラで

    小諸や安中、高崎などで見たキノカワガは、まっすぐ真上にのびたケヤキやエノキ、クヌギの太い幹にとまっていましたが、雪国でそのスタイルは問題ありなのでしょう。4回目の冬ですが、幹にとまって越冬するキノカワガをまだ1匹として見つけておりません。

    枝の下にもぐり込んで見た図

    雪どけ水がかすめるように流れていますが、とりあえずOK。

    気温が上がると動くこともできるようです。

    指でそっと触ってみると、意外に機敏にススッと動きましたから。

  • キノカワガの頭部

    無茶を承知で頭部の深度合成にトライ。

    確か4倍で撮影した10枚から深度合成。複眼の、触角の向こう側の部分に破綻が生じております。

    若干の問題ありですが、整然とならぶ鱗粉の様子は本当に美しいです。

  • クスサンの卵 もう一枚

    汚れの少ない卵で再び超接写、更に11枚の画像からの深度合成。

    表面のでこぼこ感がより分かりやすく撮れました!

  • 雪の上のカワゲラ

    海岸からわずか1kmほどの谷閒。
    こんな場所でも雪が深くてカンジキ無しにはまともに歩けません。
    今年の雪はいつがピークとなるのか、もう今であって欲しいものです。

    まあ、カンジキがあれば割と自由に歩き回れるのですが・・・意外なところに隠れている踏み抜きがちょっと怖いです。

    川沿いを進むと、雪上に、黒い翅のないカワゲラが次々に現れます。大きさは1cmほど。


    中胸と後胸の外側、本来なら翅があるべき場所に、何か名残のようなものが見えます。
    肉眼では全くわかりませんが画像確認していて気がつきました。

    それでは超接写で

  • イラガの繭

    固いイラガの繭には、羽化した成虫が簡単に出てこられるように、すでに切れ込みが入っている・・・そういう話は聞いたことがありますが、確かめたことがありませんでした。

    このあたりだろうと精密ドライバーで突っついてみたら、思いがけずポカッと穴があきました。

    お!どうやら切れ込みも見えてきたようです。

    そっと少しずつ開いてみようとさわっていたのですがダメでした。きっかけができるまでは頑丈な作りでびくともしませんが、外れるときは簡単に外れるようになっているようです。実に不思議です。

    中の前蛹が露出しました。イラガが蛹になるのは春になってからとのことです。
    しかし最初の穴開けがうまくいかなかったのが残念。。。

    蓋の部分の縁を内側よりアップで撮影。

    どうやってこんなにスパッとした切れ込みを入れているんでしょう。いったいどのタイミングで?それと蓋が取れない仕組みは、見たところ糸で繋がっている様子はありません。結構、不思議がいっぱいであります。

  • ヤママユガ卵の表面

    ヤママユガの卵、今度の卵は若い枝についていましたから、今年孵化のものと思います。
    前の撮影で気になっていた表面の構造を、再びのぞいてみました。

    11枚の画像を深度合成

    上の画像の部分アップ、ピクセル等倍表示

    まるでゴルフボールのように、凹みが整然と並んでいます。

  • ゼフィルスの卵

    昨日、雪深い山のふもとの林を、カンジキを履いて歩いてみました。
    苦労して歩いた割に収穫は少なく、このミドリシジミ類の卵くらいしかありませんでした。

    家に持ち帰った卵を拡大撮影、18枚の画像から深度合成しています。

    コナラの割と低いところについていました。オオミドリシジミの卵と思われます。
    だいぶレンズの癖が分かってきました。満足のいく結果が得られました。

     

    左の画像は上の写真の部分アップ、ピクセル等倍で表示。ベストの画像が撮れたといっても、実はこの程度の画質です。普通のレンズと比べると解像度が低く見えると思います。

    しかし、見えないものが見えてくるというのは素晴らしいこと。

    この世に超接写用レンズは様々出ましたが、その本領を発揮する前に消えてしまったものが多数あります。

    調べてみると、深い底なし沼のような、私のようなものには危険な世界が待っているようですが、素晴らしい高画質のレンズが眠ったままというのはあまりにもったいないことです。

    成功率が低くて使いにくいこれらのレンズも、失敗をおそれず撮影できるデジタル写真との組み合わせで、再び息を吹き返すはずです。

     

     

     

     

  • カワゲラの一種


    倍率8倍ともなるとピントは相当に浅いです。
    ほとんど勘でピントを合わせているような撮影になっています。

    このカワゲラはミドリシジミの卵を探しているときに見つけました。
    ハンノキの幹にとまっていて、最初は日光浴かと思ったのですが、口を幹につけてモゴモゴと何か食べている様子が見えました。

    残念ながら写真には残せなかったのですが、藻類でも食べているのでしょうか。

  • ミドリシジミの卵

    ひっさしぶりに暖かい一日・・・と思っていましたら、最高気温は3℃ほどだったと知ってびっくり。
    風もなく青空も出るなんて、しばらくなかったもんですから、感覚がおかしくなっているようです。

    湿地のハンノキでミドリシジミの卵を探しました。

    ↑ ここには卵塊がふたつ見えます。

    穏やかな天気のもと、じっくり探す事ができました。
    足下の雪からの照り返しでとても見やすく、多数の卵塊が見つかりました。

    まっ白にキレイなものもあれば、うすよごれているものもあります。

    もうちょっとアップにすると・・・
     
    緑の藻類が点々と見えます。

    今回、手持ちで撮影した4〜5枚の画像から深度合成をしてみました。
    フレームのズレや傾きもPhotoshopはうまく修正してくれます。
    あまりフレームがずれてしまうと有効な画面がどんどん小さくなってしまいますので、そこは撮影時にうまくやらなくちゃいけません。

  • ミズイロオナガシジミの卵

    再びミズイロオナガシジミの卵を深度合成。今回は3枚だけの合成です。
    手持ちで撮影しているとピンぼけ写真をたくさん作ってしまうのですが、そのなかに深度合成の素材に使えるものがありそうだと考えたのです。結果は・・・OKじゃないでしょうか。

    微動装置を野外で使うのは面倒ですから、ダメ元で試してみてもいいかも知れません。
    ところで・・・

    突起というか翼というか、見れば見るほどおもしろい構造です。

    すりガラス状に丸く薄そうな部分を中心として、突起は3〜4本突きだしています。
    隣り合った突起の股には決まって薄い板のような構造が見えます。

    全て何か機能的な意味のあるものだと思います。
    呼吸や温度調整に関わってくる構造なのでしょうか。

  • クサギカメムシ再撮

    レンズを換えて、再びクサギカメムシのアップを撮影。

    単眼と複眼

    前の顕微鏡レンズでの撮影では、点刻に見える色がレンズの収差によるものかどうか怪しかったですが、今度は安心して公開できます。

    気門もふたたび