Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

カテゴリー: 昆虫

  • マツムシ

    夜になっても気温の高い状態が続く。何だか落ち着かない。
    ふと思い立って、先日果たせなかったマツムシの音集めにでかけることにした。
    先日は県境付近にカヤキリの声を聞いて引き返したが、もっと先へ、
    マツムシの声を聞くまで行ってみよう。
    新潟に向かって、海岸線を走るルートをとった。
    国道7号線でしばらく行き、途中から345号線「笹川流れ」へ。

    ところで、前回気がつかず、カヤキリの撮影地を山北町としてしまった。
    山北町は、今年の4月から村上市になっていたのだ。
    荒川町、上林村、朝日村も村上に。何だかちょっと寂しいような。。。

    結局、瀬波温泉まで行ってしまったが、そこではもうマツムシは普通に鳴いていた。
    他にヒロバネカンタン、カンタン、スズムシ、カネタタキ、ミツカド・エンマなどのコオロギと、
    賑やかな合唱を響かせていた(昨夜の星空はまた格別綺麗だった)。

    枯れ草によく似た色合いで、ちょっと見つけにくい。
    一匹目を見つけるまでは時間がかかった。
    P8285497

    マツムシはどんどん場所を変えながら鳴いていた。
    P8285508 P8285500
    8月28日 新潟県村上市 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

    瀬波温泉は、越後平野の北端に位置する。
    マツムシの分布、やはり越後平野どまりなのだろうか。
    帰りもつい笹川経由のルートをとってしまったが、7号線で戻ればよかった。
    葡萄峠までのマツムシの状況を確認するチャンスだったのに。。。

  • カワラバッタ

    先日カワラバッタのいる場所を永幡さんからおおよそのところを聞いていたので、割と簡単に見つけることができた。このバッタは山形県のレッドデータにリストアップされている。そして特に保護されているわけではないから、撮影地は公開しないでおこう。

    カワラバッタは擬態の見事さで著名な種。川原の石がごろごろしている所にとまっていると、見つけるのはかなり難しい。コンクリートやアスファルトの上にいても結構まわりにとけ込んでいる。

    中央やや下よりに雌がとまっている。
    P8275342

    上が雌、下が雄。
    雄は後ろ足を翅にこすりつけて鳴く。
    雌も同じような動きをちょっと見せるのだが、小さな音なのか、聞き取れなかった。
    P8275299 P8275284
    8月27日 山形県某所 E-520 シグマ150mmマクロ

  • クサヒバリ

    明け方から、朝の9時くらいまでの時間、庭ではクサヒバリが賑やかに鳴いてる。マサキの植え込みのなか、そっとのぞいてみると、雄のそばには雌の姿もあった。

    左の写真、右上に見えているのは雌の触角。
    触角同士がぶつかると、雄はよく反応して鳴き始めた。
    交尾にいたるまでは、結局撮影できなかった。
    P8265223 P8265201
    8月26日 山形県鶴岡市 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

  • ルリボシヤンマ

    池の水草に産卵にきたルリボシヤンマ。
    時々場所を変えながら、30分以上産卵を続けていた。


    8月22日 山形県鶴岡市 EX-F1 300fps

  • 砂浜のバッタ

    P8204535
    8月20日 山形県遊佐町 E-520 14-42mm

    先日、夜に訪れた浜辺に、日中また行ってみた。
    虫の声が豊富だったので気になる場所だったのだ。

    砂浜近くの草原に、見慣れないバッタを見た。
    後で調べてみると、マダラバッタのようだ。
    後ろ脚がとれてしまっているのが、ちょっと残念。

    P8204490

    草がほとんどない砂浜にいた、なかなか見事な擬態バッタ。
    これも見るのは初めて。
    P8204523

    ヤマトバッタ(ヤマトマダラバッタ)ではないかと思う。
    これほど砂浜にぴったりのバッタもいないだろう。
    お見事!
    P8204518
    8月20日 山形県遊佐町 E-520 シグマ150mm

  • ミツカドコオロギ

    P8194477
    8月19日 山形県酒田市 E-520 14-42mm

    今にも降り出しそうな最上川沿いの土手にミツカドコオロギの声を聞いた。
    果たして本当にミツカドだろうか?オオオカメコオロギという、声のよく似たものもいるらしい。
    声のする辺りに踏み込んで、追い出してみた。

    出てきたのは、確かにミツカドコオロギ。
    ちゃんと頭の左右にとんがりもある。でも。。。
    P8204635

    どうも左右のとんがりが小さい。
    かつて群馬県安中市で採集したもの(こちら)と、だいぶ違う。
    カドナシミツカドコオロギと呼ばれるタイプは、こんな感じではないだろうか。
    IMG_0637

  • ジャコウアゲハ

    ジャコウアゲハというとお盆のチョウ。
    これは長野でうえつけられた感覚だ。
    あちらではあるお墓に大発生していたためで、よけいにお盆の印象が強くなってしまった。
    久しぶりに6月にジャコウアゲハを撮ったポイントの付近をまわると、
    成虫ばかりでなく、幼虫や蛹も含めて色々見ることができた。
    ここはお墓じゃないけれど、また「お盆のチョウ」の印象を強めることになりそうだ。

    ヤブガラシの蜜を吸っていた雌と雄。
    P8194299 P8194285

    食草を探して、草間を飛ぶ雌。
    P8194328

    食草のウマノスズクサは、若い葉が多かった。
    草刈りの後に伸びてきたものだろう。
    右は葉を食べる幼虫
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    クワの木など、草間にちょっと高くつきだした植物には蛹が見られた。
    右写真のような前蛹のものもいくつかあった。
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    8月19日 山形県庄内町 E-520 50mmマクロ シグマ150mmマクロ

  • 飛島のミカドミンミン

    山形の永幡さんと8/16〜17の一泊で飛島に行ってきた。目的はタイトルのミカドミンミンである。
    先にブログに書かれた永幡さんによれば、私に「誘ってもらって」と書かれてるけど、実際は永幡さんに誘ってもらったと思う。前回の飛島行きでミンミンゼミの声に一度も会えなかった直後だったので、誘ってもらってすぐ「行きましょう!」となった(と思います)。。。
    ありがとうございました〜

    前回一度も声を聞かなかったというのに、今回はミンミンゼミの大合唱が迎えてくれた。ちょっと拍子抜けするくらいだったが、私はもう嬉しくてすっかりハイな状態になってしまった。早速、港近くの神社に向かってセミの姿を見てまわったが、5匹目くらいだっただろうか、念願のミカドミンミンを確認することができた。
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    お腹側も色が薄く明るい印象。ヒグラシのような色合いだ。でも、通常のミンミンのお腹側の撮影をするのを忘れてしまった。それじゃ、比較にならないって。。。
    P8163555

    多くは黒い部分の多い、通常型。この通常型も、何だかいつも見ているミンミンより、黒っぽい印象だった。
    ミカドミンミンと比較してそう思ってしまうのか?
    先日山形で撮影したものと比べてると、中胸が黒いだろうか。もっとも個体差があるので、もっとたくさんで比較してみないと何も言えないところだ。
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    永幡さんによる、ミンミンゼミの比較も要注目!
    こちら

  • 飛島の虫たち

    酒田を出て、ずっと曇り空だったのだが、飛島に近づくと青空が見え、日がさしてきた。
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    あとで聞くと鶴岡では結構雨が降っていたそうだけど、
    飛島に滞在中、結局一度も雨に降られずにすんだ。
    今回はミカドミンミンの撮影がメインだったが、他にもいくつか撮ったので並べてみたい。

    まずはトラフカミキリ。
    ちょっと古くなったクワに何度も見た。
    でも、結構敏感で近づくとポトリと落ちてしまう。
    しょうがないので、捕まえて顔が見えるように撮ってみた。
    P8163583 P8163589

    島には今回もアオスジアゲハはそれなりにいたのだが、
    前回たくさん来ていたイヌザンショウにはいなかった。
    ここで見たのは、無数のカミキリモドキ。ほとんどがハイイロカミキリモドキだろうか。
    右写真は、一回り大きなキイロゲンセイ。いたのはこれ一匹だけだった。
    P8163597 P8163621

    シオカラトンボが多いけれど、オオシオカラトンボも一度見た。
    それもすぐ近くまで波がきそうな岩場で。
    P8174094

    前回も何度か撮影しようとして逃げられていたトモエガ。
    日中、道を歩いていると飛び立った。
    ハグルマトモエとオスグロトモエの区別がよくわからないのだが、
    これはハグルマの方だろうか。
    P8173899

    クロマツの幹にとまっていた、たぶんミヤマキシタバ。
    P8173930

    ヒメキンイシアブだろうか。
    2mほどの高さの所で、近くを飛ぶ虫を狙ってキョロキョロしていた。
    P8173960

    ウスバカゲロウの一種。
    タブの幹にとまっているのを2度見かけた。
    P8163594

    シロテンハナムグリ。
    カシワの若い実の根元をなめているようだ。
    P8174016

    道路に落ちていたアカズムカデ。
    庄内ではまだこんな大きなムカデは見ていない。
    P8173759

    クモ図鑑がないので、種名が分からない。
    薄暗い林の中にいたコガネグモの一種。
    コガタコガネグモだろうか。
    P8163666

  • ウバユリ

    生えている場所も薄暗いところだし、あまりいい印象を持っていないウバユリ。
    けれど山形の帰省中、たくさん固まって咲いているのを見つけて、
    あまりの見事さにカメラを向けてみた。

    朝、ようやく日が射しはじめる時間、次々にやってくるマルハナバチが面白かった。
    改めてよく見ると、ウバユリの雄しべと雌しべは、受粉を助けてくれる虫たちが
    とまれるようにうまくデザインされているように見える。
    P8122802 P8122813

    花の中で、マルハナバチは、雄しべや雌しべにぶら下がって、後脚の花粉団子を作っていた。
    花びらの内側は大変滑らかで、ツメはひっかからないだろう。
    足場は雄しべと雌しべだけになる。

    P8122794 P8122758
    8月12日 山形市 E-520 50mmマクロ&シグマ150mm

    花の中に留まっている時間は結構長く、花粉の受け渡しには十分すぎるように見えた。
    あたりは花の強い香りで一杯だった。

  • ミンミンゼミ

    庄内ではミンミンゼミの声をまだ一度も聞いていない。
    山形県内のミンミンゼミの分布図が欲しい。どこかに資料がないだろうか。。。

    山形に帰省して、今年はじめてミンミンゼミの声を聞いた。
    明後日からまた飛島のミンミンゼミ調査に行く。今回は山形の永幡さんと。
    もし飛島のミンミンゼミの写真が撮れたら、比較のために普通のミンミンも必要になる。
    で、帰り間際に慌てて撮影した。

    P8133091 P8133100

    次の一枚。
    シャッターを切った直後、突然セミが飛び立ってしまった。
    意外なところで飛び立ったので、何だろうと思ったのだが、
    プレビューしてみて理由がわかった。
    P8133107
    8月13日 山形市 E-520 シグマ150mm

  • 月山のベニヒカゲ

    数日、山形の実家にお盆のお墓参りに行っていた。
    その帰り、月山によってベニヒカゲを探してみた。
    ベニヒカゲは山形でみられる唯一の高山蝶。
    20年前、学生の頃に夏の月山で見た。その記憶を確かめたくなったのだ。
    志津から入り姥沢駐車場に車をとめて、リフトで一気に森林限界まで。
    少し登ると姥ガ岳山頂に出る。標高1670m。
    山頂に立って辺りを見渡すと、ポツリポツリとベニヒカゲが飛びたつのが見られた。

    登山道途中より、月山山頂方向。
    まだあちこちに雪渓が残っている。
    P8133234

    リフトを降りた後の登山道は木道が敷かれ、
    ロープが張ってあり歩く範囲は限られている。
    ここは磐梯朝日国立公園の中なので、動植物の採集は一切禁止だ。
    マナーを守って楽しく撮影。。。
    だが、もうちょっとのところで近づけないと正直ちょっと不満が残る。
    でも、久しぶりに山形のベニヒカゲを確認できて嬉しかった。
    1時間ほど粘って、近くに寄ってきたベニヒカゲを撮影した。
    P8133253

    P8133301
    8月13日 山形県西川町 E-520 シグマ150mm(トリミング)

    でも、20年前の記憶では、姥が岳山頂まで登った覚えがない。
    リフトを降りてすぐに飛んでいたような気がするのだが、
    今回は姥が岳山頂以外では一度も見なかった。

  • キオビホオナガスズメバチ

    姥沢の駐車場付近にイケマの花を見た。
    そこに高地性のキオビホオナガスズメバチが吸蜜に。
    数日前、海野さんも小諸日記でこのハチの事を書かれていた。

    私が撮影したのは働きバチ
    P8133407
    8月13日 山形県西川町 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

  • カヤキリ

    音集めにも書いたのだが、山形・新潟県境でカヤキリを見つけた。
    マツムシも新潟のどの辺りまで来ているのだろう。
    そのうち、新潟まで音集めの夜のドライブに行ってみようと思う。
    P8133418
    8月13日 新潟県山北町 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

  • イボバッタ

    なるほど、確かにイボバッタだ。
    永幡さんに教えてもらうまで気がつかなかった。
    足下を飛ぶバッタをクルマバッタモドキあたりだと思っていたら、
    小諸では見たことのなかったイボバッタだった。
    ここでは、ごく普通に見られるバッタのようだ。
    P8092431

    枯れ草や地面、地表の様々な状態にとけ込む見事な隠蔽色。
    こちらは雌だろうか。
    P8092433
    8月8日 山形県鶴岡市 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

  • ゴマダラチョウ

    庄内砂丘に植林された広大な松林にもエノキは多い。
    ゴマダラチョウもたまに見る。
    でも、樹液の出ている木はほとんど目にしない。

    あるお宅の庭先にゴマダラチョウを見た。
    ムクゲの花に、なんと3〜4匹来ている。
    ゴマダラチョウって花に吸蜜するんだっけ?と驚いたが、
    よく見ると口吻は蜜のありそうなところとちょっと違ったところを探っている。
    どうもアブラムシの甘露をなめているようだ。
    P8082331
    8月8日 山形県鶴岡市 E-520 シグマ150mm

  • クロタマムシ

    久しぶりに山形の永幡さんと庄内をまわった。
    クロアナバチの生態写真を撮影するのが目的だが、
    今回は巣穴をいくつか、それと成虫を3度見ただけで終わった。
    先日キオビベッコウを撮影できたのも、実は永幡さんの熱意に刺激されてのこと。
    クロアナバチは小諸でも結局撮影できなかったものだった。
    私もいつか必ずツユムシを巣穴に運ぶクロアナバチを撮影したいと思う。
    昨日は思いつかなかったが、考えてみれば、先月半ばくらいから
    エゾツユムシの声を録音したりしていた。
    もうあの頃から、クロアナバチの狩りのシーズンは始まっていたかもしれない。

    さて、車で移動中、永幡さんが松林の中にお宝ポイントを見つけた。
    そこにいたのはクロタマムシ。
    雄の顔は赤いのとそうでないのとがいるそうだ。
    P8092458 P8092462
    P8092468 P8092473
    8月8日 山形県酒田市 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

    伐採木を積んだ場所を、私はいつも見逃してしまう。
    こういう場所はカミキリムシの仲間が多く集まる、虫さがしには重要なポイントなのだ。
    海野さんと一緒に走っているときからそうだったけど、
    どうもそちらに我がアンテナは向いてくれない。。。

    ところで、この時は訪れた時間がちょっと遅かった。
    もっと早い時間にいけば、ウバタマムシはもちろん、もしかしたら庄内ずっと記録が途絶えたままのアレの可能性も期待したくなる。

  • ヒロバネカンタン

    先日、永幡さんがブログにヒロバネカンタンの事を書いていた。
    そうかいるんだ〜。一昨年の秋に柏崎の浜辺で姿を見て以来、声も確認していなかったヒロバネカンタン。
    これは録音のチャンス!

    でも、昨夜は出かけたのは、まずはヒロバネカンタンを目当てではなかった。
    ハタケノウマオイやマツムシが新潟にいて山形にいないのが、どうも信じられず、
    それを確認しようと川沿いに海まで走ってみたのだ(もちろん車で)。
    そして、河口までたどり着いたとき、そこは今まで聞いたことのない虫の声に満ちていた。
    これはもしやと灯りを照らしてみたところ、確かにヒロバネカンタンであった。
    色合いは違っても、翅の感じなどカンタンとうり二つ。でも声は全くちがう。

    久しぶりに、録音していて楽しかった。
    声は「音集め」で

    P8082403

    P8082391
    8月8日 山形県酒田市 E-520 50mmマクロ+1.4xテレコン

  • キリギリス

    数日前、キリギリスの声を録音したのだが、草の影に潜んでいて姿が見えない。30分は探して、こりゃいかんと諦めたのだが、さらに車のカギを落っことして・・・。
    日射しとは関係無しに、頭が熱くなってしまった。

    どうやらこちらの攻め方が悪かったようだ。長野で追っかけていたキリギリスとこちらのキリギリスは、性格がはっきり違う。

    鳴いているそのものを撮影できないので、その辺りに踏み込んで
    逃げ出したところを撮影する作戦に変えてみた、すると。。。
    長野ではそれでよかった。すぐに威勢よく飛びだしてきて、
    その後を追いかけるのが大変なくらいだった。だが、庄内のキリギリスはじっと動かないで、危険が去るのを待っているようだ。
    まるで擬死しているかのようで、触っても逃げないこともあるくらいだ。それが分かったら、何とか姿を見つけることはできるようになった。見つけてしまえば、そのような性格だから、撮影するのは割と簡単だった。

    まずは雄
    P8082275

    こちらは雌
    P8082253
    8月8日 山形県鶴岡市 E-520 シグマ150mm

  • キオビベッコウ(キオビクモバチ)

    昨年の今頃もカリバチの撮影をしていた。なんといっても真夏の暑い盛りが観察のチャンス。種類も多く、ハチたちの獲物も多いのだろう。

    何となく浜辺に出たくなり日没近くある砂浜に向かったところ、そこにお宝が待っていた。キオビベッコウというカリバチである。もうすでにクモを埋め終わったのか、穴の入り口をふさいでいるところだった。明日はまたここに来てクモを埋める過程を撮影できるかなあ、などと考えながら、その場を通り過ぎて更に浜辺に降りていった。

    日も落ちて、まさに「たそがれ時」の暗さの中、来た道を戻り始めてすぐに驚愕の光景を目にすることになった。さっきまで何もなかった砂の道に、キオビベッコウの巣穴がいくつもあいているのである。割と狭い範囲に7つもあいている。なんだこれは。。。。正しくは今ちょうど、穴を掘っているところだった。
    え〜どうして?真っ暗なんだぜ。。。

    予備知識のない私は、何だかわけがわからない思いで、一匹に集中して撮影を始めた。時間は19時10分。
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    実はこのとき懐中電灯を持っていない。遠くに止めた車にも入っていないかも知れない。幸いストロボにモデリングランプがついているので、それを頼りに撮影している。実際は、全くの闇のなか。

    獲物は1mほど離れたヨモギにかけてあった。まるまる太ったナガコガネグモだ。穴を掘りながら2度確認に行ったので、獲物を仮置きしている場所がつかめた。しかし、その様子は残念ながら撮り逃した。
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    クモを運び込んだのは19時38分。連写できないのが辛い。
    P8061756 P8061758

    しばらく穴の奥に入ったまま姿が見えない。今、産卵しているんだろうなあと想像しながら待つ。やがて再び表に出てきたハチは、穴埋め作業に移った。少しずつ砂をもどし、尾端で叩いて固めながら丁寧に穴をふさいでいく。
    工事現場でダダダ・・・と砂利を固めているあの機械(ランマーというらしい)のような動きだ。ストロボで撮ると動きが見事に止まってしまい、残念ながらその動きは写せていない。
    P8061867 P8061866 P8061840

    まわりのハチの中でも最も深く穴を開けていたようで、この一匹だけ随分時間がかかった。穴を埋め終えたのは20時52分。
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    さあこれで終了と思いかけたところ、ハチはそこから次の奇妙な行動に移る。すぐ後ろに別の穴を開け始めたのだ。灯りをあてられて頭がおかしくなったかと心配になった頃に、その穴を埋め始めた。たまたま近くにやってきたゴミムシダマシも不思議そうに覗き込んでいるように見えた。「なにしてんの〜」
    P8061890 P8061905 P8061917

    この奇妙な行動は、実は隣のハチにも見られた。必ずやるのか、よくやる程度なのか分からないけれど、ダミーの穴を掘っているように思えた。

    さて、二つめの穴を埋めたら、今度は巣穴周辺に砂を飛ばして表面をキレイにする。お尻で穴をふさいでいた動き同様、これも写真には写せていない面白い動きだった。モーターで振動するおもちゃが机の上を滑るように動いているような感じ。。。
    だめだ、うまく表現できていないです。
    P8061938 P8061923

    全てが終了したのは9時半過ぎ。
    実は、完全に終えたかどうかよくわからない。ハチが突然作業をやめて、灯りに飛んでくるようになってしまったからだ。何か、突然、産卵行動のスイッチが切れてしまったかのようだった。

    帰って調べたら、キオビベッコウは夕方までに狩りをすませて暗くなるまで待機しているらしい。そして日没を待って、作業を開始するわけだ。目的は、まず間違いなく寄生バエ対策だろう。明るいうちに、クモを運ぶキオビベッコウを見たときは、確かに寄生バエが近くにいたけど、この夜の作業中、ただの一度もハエなど見なかった。

    それと、キオビベッコウは何だか同種間で泥棒まがいの事をやるらしい。もう1つダミーの穴を掘っていたのは、その対策ではないだろうか。