Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

投稿者: 高嶋 清明

  • クロベンケイガニ

    何か運命的な縁を感じて(たぶん私の片思い)宮城県某所に震災後一月半経った頃から通っています。
    4月27日の記事
    といっても、今回はまだ3回目。

    朝8時からボランティア活動に参加するその前に、早朝、かつてヒヌマイトトンボを撮影した川岸に向かいました。
    川岸のアシは私の膝くらいの高さにまで成長しています。
    7年前の画像と比べてみると、やはり範囲が狭く感じますが、ひどい津波をまともにくらったのですから、当然のことでしょう。そもそも、川岸が削られたのか川幅が広がっているようにも見えます。

     

    川岸を歩き始めて間もなく、5cmほどの生きものがアシの隙間を
    カサカサ音を立てて歩くのが見えました。

    ひどく驚きましたが、そっと近づいて正体を確認すると、それは一匹のカニでした。
    クロベンケイガニ。汽水域に暮らす生きものです。
    前にも気になった、土手にあいたたくさんの穴の主はこのカニとわかりました。生きて歩いている姿を見ると、何とも嬉しくなります。

    当然川岸の土砂も巻き込みながら津波は通り過ぎていったはずです。何とたくましい連中でしょう。

     

    付近の植物たち。左からノウルシ、スイバ、タンポポ

    植物の様子を見ていると、やはり土壌の栄養の少なさが感じられます。
    4月末に最初に訪れたときは、結構早く緑に覆われる日が来るんじゃないかと思いましたが、今回は、 そう簡単な事ではなさそうだと感じました。雨があれば違ってくるでしょうか。

    イタドリには小さなケアリがたくさんついていました。
    アブラムシがいるのかと思いましたが、それらしきものは見えません。
    たぶん、分岐部にある蜜腺に集まっているのでしょう。

    この日、この場所で見た昆虫はこれだけ。
    朝6蒔頃、うすく雲があったため、たとえ昆虫たちがいたとしても、活動前でした。日中、ボランティアで泥出し作業をしている時間は、穏やかに日が差して気持ちのいい一日でした。

     

    ここは津波の被害が特に大きかった場所で、日中はまだ自由に入ることのできません。7月になっても状況は変わらないかなあ。。。

     

     

    もう1枚。

    海岸から1.2km地点では、フジの花が咲きはじめていました。スギの下の方に長いつるが何本も見えていますが、これもフジでしょうか。

    土がむき出しになっている部分は、津波の襲撃をもろに受けています。だいぶ海岸から離れていますが、まだ高さ4〜5mありそうです。

     

  • ホシアシブトハバチ

    鮮やかなオレンジ色のハバチが、エノキの若芽の周りを飛んでいました。小型のマルハナバチくらいの大きさがあって、おまけに黄色と黒の模様はアシナガバチなどを連想させます。
    ハバチとわからなかったら、刺されるんじゃないかと身を引いてしまうでしょう。

    このハバチの名はホシアシブトハバチ。幼虫はエノキの葉を食べて育ちます。まだ半分くらいしか開いていない若葉を見つけて産卵にやってきたようです。

    そのまま見ていますと、すぐに若芽にとまってじっと動かなくなりました。風が強いので大きく揺られてよくわからないのですが、お腹を葉柄あたりにくっつけて、何だか小刻みにふるえているようです。
    バラの枝に産卵するチュウレンジバチのように、刀のような産卵管で傷をつけているのでしょう。卵は植物の組織内に産卵されます。

    アップで撮影した写真には、産卵管らしきものも見えています。

    一度産卵を始めると、5分くらいとまったまま。まとめていくつか産卵しているようです。

    幼虫はイモムシ型で、粉をふいたようなまっ白な体色。くるっと丸まったようなとまり方で、少々気味の悪い幼虫です。半月くらい後に訪れたら、幼虫も撮影できるでしょうか。

  • タカハシトゲゾウムシ

    深夜バスで東京より鶴岡に戻り、さて山形に出かけようと思ったのですが、家に着いてちょっと横になったら2時間ちかく寝てしまいました。とほほ。。。
    でも目覚めたあとはスッキリ!やっぱり寝なくちゃダメです、私の場合。

    それでもお昼前には山形市に移動し、さっそく目当ての虫を探して歩きまわりました。
    2時間後、ようやく見つかった一匹です。

    サクラの葉裏にとまっているそれらしき甲虫を見つけては、オッと顔を近づけるのですが、たいていはセモンジンガサハムシ。セモンジンガサハムシは50匹以上見たでしょうか。
    昨年、タカハシトゲゾウをこの場所で見なかったらとっくに諦めているところです。この虫は本当に数が少ないのか、そうでなかったら別の場所にいるのでしょう。一匹でも見つかって、ホントによかった!

    何度見ても不思議な後脚。ノコギリ状の部分はどう機能するものでしょう。

     


    サクラの葉裏には小さなグンバイもいました。体長3mmくらいの非常に小さな昆虫です。

    ナシグンバイという 種類で、ナシ・リンゴ・ウメなどバラ科植物につきます。サクラも同じくバラ科です。

    アップで撮影していて、ふと気がつきました。
    胸の背面が盛り上がっている。。。

    恥ずかしながら、小さな虫なので気がついていませんでした。
    横から見ると、まるで印象が変わります。

    いつも背面からばかり見ていたものですから、この形はなかなか新鮮です。

     

    ついでにサクラに見つけた昆虫もう一種。

    アワフキムシのなかまで、ムネアカアワフキです。

    アワフキムシは、多くは初夏に幼虫が泡の巣を作るのが見られますが、ムネアカアワフキの場合は、巻き貝に似た石灰質の巣を作り、越冬態も幼虫とのこと。

    この成虫は羽化直後のようです。

    写真の個体は雌。雌は前胸と小楯板が赤く、雄は小楯板のみが赤いそうです。もっとよく探せば色々撮影できたなあ。。。

    鶴岡に戻って調べながら、ちょっと残念な気持ちになりました。
    そして、ついでに思い出したタケウチトゲアワフキの存在。おや?表題の昆虫の名前と字面がよく似ておりますねえ。

  • 第32回SSP展

    本日より第32回SSP展スタートです。
    SSP・・・日本自然科学写真協会 会員の私も、もちろん出展しています。

    初回東京展は富士フイルムフォトサロンで本日5月13日から19日まで
    一年に渡り日本全国各地で展示されます。どうぞよろしく!

  • ルイスアシナガオトシブミ

    オトシブミの季節が始まりました。
    まず第一波はケヤキの葉を巻くルイスアシナガオトシブミです。
    揺籃は、まだ海岸沿いの山の中で1つ見ただけですが、まもなく凄いことになるでしょう。

    ルイスも揺籃を切り落とす、切り落とさないの両方のパターンがあります。
    庄内ではどうなのか、まだよく見ていません。今年は注意深く見ていこうと思っています。

    ケヤキの葉はまだ開いている途中で、半分ほどにも成長していません。
    ルイスアシナガオトシブミもまずは若葉を食べて、これからに備えているところと思います。

    下から見ると、風にゆれる若葉の裏、所々に止まっているのが見えています。


    越冬明けというのに、まるで羽化したてのような美しい甲虫です。
    今の季節は、植物も昆虫も、何もかもが瑞々しく、見ているだけで楽しくなります。

  • 災害ボランティア

    一日宮城県某所のボランティア活動に参加しました。
    鶴岡より車で片道3時間かかりません。ここなら月に1〜2回くらい私も動けると思います。
    この前後に宮城周辺の虫のポイントを探してみるのも いいでしょう。

    ところで、災害ボランティアについて、長く活動に参加している人たちから様々な話を聞くことができました。

    ・連休中は参加者が多かったけど、急に少なくなっていてどこも心配だということ
    ・場所によって効率よく進んでいる場所とそうでない場所の差が大きいということ
    ・amazonの「ほしい物リスト」というシステム

    私はamazonはよく利用していますが、「東日本復興を応援」のコーナーを開いたことはありませんでした。
    こんな素晴らしいシステムがあったとは。。。感激しました。
    被災地を直接応援したいのに遠隔地でできない方など、このシステムを活用されてはいかがでしょう。

  • クモ3種

    山形市のS山はすっかり初夏な感じになっていました。そこで久しぶりに見たアオオビハエトリ。

    山形の実家の庭ではよく見ていたハエトリグモですが、小諸でも鶴岡でも見ていません。あらためて可愛いクモだなあと思いました。特に仕草がいいですね〜

    続いてハナグモ

    コナラの新芽にハバチがとまっている・・・と思ったら、ハナグモにつかまっているのでした。ハバチは産卵植物を探しているところだったのでしょうか。全く危険を感じていないところに、突然がぶりとやられる瞬間を想像すると、ぞっとします。
    一方、クモの側からは、やっと獲物にありつけた、救われた・・・というところかも知れません。何やら、色々考えてしまいます。

    やたらたくさん見たのはアリグモでした。いわゆるアリグモと違う感じがしますが、図鑑を見てもよくわかりませんでした。幼体でしょうか。

    アリの方も木の上にたくさん見られました。カイガラムシには、クロクサアリが蜜をもらいに来ています。

  • ツマキチョウ

    今日もモンシロチョウを狙おうと思って河川敷に出たのですが、白いチョウはツマキチョウばかり。嬉しいんだけど残念なような複雑な気持ちです。でも、どうやら今日は、年に一度のツマキチョウの当たり日のようでした。

    一昨年の4月29日がそうだったように、今日は一斉に雄が出たんじゃないかと思います。朝から気温が上がって、10時ですでに15℃を超えていました。

    雄が蜜を吸っているのは何でしょう。タネツケバナとは違うような・・・とにかく、この花が好きらしく、何度か吸蜜シーンを見かけました。残念ながら、撮影できたのは、これだけでしたが。。。

     

    足下から飛び立った一匹の雌。もしかしたら、羽化直後で翅をのばしていたところだったかも知れません。
    すかさず、どこからかやってきた雄が追飛しはじめました。

    藪の中だろうが、私もついていきます!

    雄が追飛と書きましたが、写真を見ると、雄が先行して飛んでいるのがわかります。
    アゲハやモンキチョウに見る行動と同じですね。

    5分ほどのち、雌はようやく雄を受け入れ交尾成立です。

    うまい具合に、開花したばかりのムラサキケマンの花の上に
    落ち着いてくれました。

    上が雄で、下向きになっているのが雌です。

     

     

  • 山の新緑

    春の進みの早い海岸沿い。
    いつもの年ならもっと緑が深いところと思いますが、今年は半月くらい遅れているのではないでしょうか。ようやく薄く色づいてきたところです。 月山のふもとあたりとの差が少なくなっているという感じがします。

    サクラはオオヤマザクラかカスミザクラか、そんなところだと思います。サクラといえば、ウワミズザクラはつぼみがふくらんで、もう咲きそうになっていました。とすると、それほど遅れているのではないのかな。。。

    これから数日で一気に緑が濃くなるのかも知れません。

     

     

  • ナノハナとミツバチ

    ナノハナはたくさんあるけれど、モンシロチョウは少ない! 飛んでいるのを見たのは一度だけでした。
    庄内は田んぼに比べて畑が少なめだから、なのでしょうか。。。
    というわけで、この日は盛んに花に訪れていたセイヨウミツバチにターゲットを変更しました。

    気温は低めでしたが、青空がひろがって気持ちのいい一日となりました。

  • キミ・・・本当はヤマドリじゃないんでしょ?


    山中、妙なヤツにつきまとわれました。ヤマドリなんでしょうが、こんなのは初めて。1m以内にずっとついてきます。「わがはいは・・・」とか語り出しそう。決して負けを認めないタイプのようです。

    いつも見るヤマドリはといえば、ほんの一瞬視界の隅を抜けるくらいしか見ない慎重な連中です。あとは「ドドド・・」とほろ打ちする音を聞く程度。

    長い尾っぽはどうしました?
    そんなに頭尖ってましたっけ?
    キミ、本当にヤマドリですか?


    ただついてくるばかりじゃありません。ちょっとかまってやろうとすると、挑発に乗って攻撃してきます。もっとも、ツメもくちばしも、ニワトリにつっつかれる程度で、 さほど怖くはありません。でも、何でこんな風になっちゃったのかと思うと、ちょっと心配ではあります。脳に何か悪いのが入り込んでしまったんでしょうか?

    家に帰ってネットで探してみると、似たような体験談がいくつか見つかって、笑ってしまいました。もう二度と会えないのかなあ・・・別れた後はちょっと寂しくさえありました。


    妻に撮ってもらった1枚。靴をあげると、それだけで飛びかかってきます。

    それにしても、うちの奥さん、たった1枚で見事に決めてくれました。私より瞬間をとらえるのがうまいんです。嫉妬しちゃいます(笑)。

  • ギフチョウ

    2年前は4/11がちょうどよかった場所>>>が、今年は20日ずれた感じです。きれいな雄がたくさん見られました。

    例によってリコーで狙ってみましたが、やっぱり満足のいく結果は出ませんでした。。。
    ↓この写真も、背景が今一つ。残念!

  • 残雪とブナ


    立谷沢川の上流付近、山の斜面はまだまだ残雪が残っていますが、ブナを先頭に、山の緑は少しずつひろがってきました。

    うすくピンクの花が見えます。
    これはオオヤマザクラ。ブナもそうですが高さ10mをこえる高木の方が、地面の雪の影響は少ないのかも知れません。

    残雪の残る谷に入ると、ヒンヤリとした冷気がたまっているのがわかります。

  • スギタニキリガ

    鶴岡のサクラは散りはじめ、そこに雨です。ちょっと早いと思いますが、暗くなるのを待ってゲンジボタルの幼虫探しに出かけました。ところが、雨は強さを増し、風を伴って酷いことになってきました。もうホタルの幼虫どころではありません。でも、せっかく出てきたので、夜の灯りにイボタガが来ていないか、山沿いの某所に向かってみました。
     イボタガは見られませんでしたが、こんなキリガが数匹いました。調べてみるとスギタニキリガなどという、ちょっと惹かれる名前です。スギタニルリシジミの発見者、杉谷岩彦教授がもしやこのガも?

  • ナノハナの紫外線写真

    ナノハナを見ていたら、またムクムクと顔を出してきた紫外線写真病。やるならしっかりやらんか!と自分でも思うのですが、なかなか習慣にならない、その点でもたちの悪い病気です。

    様々機材を集めた昨年春以来、止まったまま。新たな発見があるかも知れない、ちょっとエキサイティングな分野です。このままではもったいないね。

  • ヒヌマイトトンボのこと

    もう5年以上前の事ですが、私は海野さんの東北取材についていき、太平洋岸のあるトンボの生息地を訪れたことがありました。汽水域にすむヒヌマイトトンボです。うっかりしたことに、震災直後は、そのあたり一帯が津波にのまれただろう事に全然考えがおよばず、やっと最近になって繋がりました。困ったことに、それ以来、気持ちが落ち着かなくて仕方がありません。

    被災地に行くのはボランティア活動でだけと決めていましたが、現地の様子を自分の目で確かめに行くことにしました。そう思い立つのに、不思議なくらい迷う気持ちがありません。早朝の、まだ復興作業がはじまる前の短い時間に、さっと見てくるだけで十分でした。

    そこは、海野さんが前の年に見つけられた場所でした。だいたいの場所を教えてもらい、自分の記憶と合わせて現地入り。変わり果てた光景に心もうばわれながらも、Google Mapでここじゃないかと当たりをつけていた場所に向かいます。何とも不思議な事ですが、現場に立った瞬間、ここに違いないとすぐに思うことができました。

    29日。海野さんより、2004年7月撮影のヒヌマイトトンボの生息地の写真を送っていただきました。ブログに使ってくれとのありがたいお言葉。。。本当にありがとうございます!
    川幅といい土手の雰囲気も間違いなさそうです。ただ、改めてかつての光景を見ると、遠方の家も電柱も木々も流されてしまったとは信じられず、今の風景とはなかなか重なりません。

    確信を持つのは難しいと思っていたら、横で見ていた妻が、Google Earthのストリートビューから海野さんの画像に写っている住宅を発見してくれました。これで間違いなくその場に立っていたことを確信しました。

    さて、再び現地の現在の様子。

    なんと驚いたことに、川岸のアシは新しい芽を伸ばしていました。津波の影響がないわけではないのでしょうが、信じられないくらい普通に見えます。

    かつて7月に訪れたときは、背丈よりも高くなったこのアシをかきわけ、ヒヌマイトトンボを探しました。まさかとは思いますが、今年も同じように高いアシ原がひろがった光景が見られるようになるのでしょうか。

    肝心のヒヌマイトトンボの幼虫は、今どうしているでしょう。どうやら人の作った建造物よりしっかり地面に根づいているアシです。この根などにしがみついているすれば、ひょっとして生き続けていないだろうかと期待してしまいました。

    津波は100%塩水ですし、それだけでも生きていられないと思いますが、わざわざ汽水域を好むあたり、私の想像などまるで及ばない強さを持っているかも知れません。

    付近にはベンケイガニでしょうか、地中に穴を掘って活動しているものの存在もはっきりわかりました。

  • 私の見てきたもの

    テレビや新聞・雑誌である程度被災地の様子は想像できました。確かに、眼前にひろがっていたのは、伝えられている通りの大変な状況でした。しかし、被災範囲の広大さ、そして波が達した高さのようなスケール感は、やはり実際に同じ空間に立ってみて初めて実感できるものでした。車を降りてしばらく歩いた場所では、海岸線から1.5km以上ほとんど何も残っていないような、あまりに惨い光景でした。

    Google Earthで「表示>過去のイメージ」を使うと、場所によっては被災前の美しい光景を見ることができます。そして、震災後の被災地の様子は、かなり細かくその後の変化を見ることもできます。この記録は本当に貴重なものです。記録に残して公開しようと決意し実践したスタッフの「心」を思うと、何だか泣けてきます。

    道路脇に時計が1つ。誰かが目立つところに置いてくれたように見えました。私は少しの間、時計を見つめたまま動けなくなってしまいました。

    自分の仕事部屋でカチカチいっている古い時計と同じ型に思えてなりません。地震の時に止まってしまった、あの時計です。日付もおそらく時刻も、波に流されているうちにずれてしまったのでしょう。この時計を使っている私にはよくわかりますが、日付と曜日の表示は、簡単に動いてしまいますし、時刻だってそうです。たぶん地震があるまでの50年間、正確に時を刻みながら、家族の成長を見守ってきたことでしょう。横たわる姿は本当に悲しそうでした。

    ヒヌマイトトンボの生息地を訪ねて来たつもりでしたが、この時計を見ることも、はじめから予定に組み込まれていたかのような、何とも不思議な気持ちになりました。

    これはある橋の上で見た光景です。金属の手すりがものすごい力ではぎ取られて行った様子が見えます。水の力とは、これほどまで凶暴になれるものなのかと啞然としてしまいました。

     

    1cm以上太さがあるボルトに、ナットが残っていました。欄干の基部を、津波は強引に引きちぎっていったのです。

    こんな様子を見るとまた、川岸に根づいたアシが津波に流されずに新しい芽を吹いている事が、いかに驚異的かがわかります。

    家は確かにそこにあったのです。
    土台だけがかろうじて残っているものの、上は全て引きはがされて、波にもまれて砕かれ運ばれて行った様子が目に浮かびます。

    家を囲っていたスギの木も、乱暴に折り取られてしまいました。写真の1本はまだ形が残っていますが、幹の一部が繊維状にしか残っていないような木もたくさんあります。
    狭い範囲を少しだけ見てまわりましたが、あまりに酷い状況でした。

    また、最初はわからなかったのですが、次第に、かなり片付けが進んでいる様子も見えてきました。道路・水路は整理されて、電線工事も徐々に進んでいます。それでも、一見すると気がつかないくらいなのです。

    この震災の復興は大変な作業量です。こうして見てまわってよくわかりました。そして自分も災害ボランティアに参加して、決して邪魔にならないだろうと自信を持ちました。

    所々に見える、植物たちの息吹は、私の目にも何と美しいことかと思いました。被災された方々を勇気づけて欲しいと思います。

    サクラは折られても咲いているものがありましたし、庭先のラッパスイセンは、ニュースでも報じられているように、いたるところで咲いていました。ケヤキやエノキは若葉が芽吹いてきていました。フジもクズも津波にも抜き取れず残っていました。これから大地を少しずつ緑が覆っていくと思います。片付けの邪魔にならないか、心配でさえあります。

    それと賑やかな鳥の声もありました。スズメにセキレイ、キジ、トビなどなど。奥の方の高台の林では、私は普段聞くことのない、コジュケイとガビチョウの声が響いておりました。

    朝7時には被災地を離れ、山形に戻る道に入りました。自宅に戻ってすぐに、連休中は受け入れ体勢を一旦ストップするようなニュースを見て一瞬へこみましたが、連休明けにはどこかの片付け活動に参加したいと思っています。

  • ニホンセセリモドキのこと

    山形新聞で連載中の「やまがた昆虫図鑑」。
    おかげさまで好評をいただき、まもなく200回に届こうとしております。

    その中で、私は1つ大きなミスをやっていたことに最近気づきました。
    4月7日づけのニホンセセリモドキですが、ヘアペンシルを出しているのは「雌」として書いています。
    これが大きな間違いで、私はもうしばらく勘違いしながら、この虫を観察しておりました。
    正しくは「雄」です。
    多くのガが雌が性フェロモンを発する行動と同じように見てしまっていました。

    新聞紙面では訂正を入れることができませんので、まず、ここで訂正させていただきます。
    もちろん、書籍版の発刊の際には、正しく修正したものをお届けします。

  • 山形大昆虫展 開催

    「山形大昆虫展」開催中です!
    http://www.gassanasahi-hakubutsumura.co.jp/daikon/daikon.htm
    私も、虫の音展示に協力しています。

    展示期間は4月23日〜5月29日
    会場は、月山あさひ博物村内、文化創造館です。
    開館時間は9:00〜17:00
    入館料は大人700円子供450円幼児100円 同じチケットで、アマゾン自然館も見学できます。
    現地周辺の地図

     

     

    巨大な古民家風の文化創造館

    落ち着いた雰囲気の館内に、様々なブースが作られています。
    中央に並ぶガラスケースは生き虫展示。なかなか個性的な海外の珍しい虫たちが展示されています。これは必見!

     

     

     



    ウデムシ、タマヤスデ、カステルナウディツヤクワガタ、ホンコノハムシ、巨大ゴキブリなどなど

     



    県内で出土した昆虫の化石             庄内藩の家老にして博物学者 松森胤保の展示

     


    標本展示は、県内ばかりでなく外国種も       こちらは私担当の虫の音コーナー ミニシアター風です

  • 風景写真家1000人のメッセージ

    風景写真出版の「風景写真家1000人のメッセージ」特設サイトが公開されました。
    >>> こちら