路傍の昆蟲

家の古本を整理していたら、スゴイ本が出てきました。

▲11㎝×15㎝と小さな本です。背表紙のタイトルはかすれてよく見えません。
随分古そうな本と思いながら開いてみて、いやいや驚きました!
「路傍の昆蟲」という昭和15年(1940年)発行の、なんと昆虫の生態写真集でした。
著者は石澤慈鳥とあります。

▲イボタガのページ。驚いたことに、画像には必ず撮影日が記されています。
そして後半部には全ての種についてしっかりと解説・・・戦前にこんな素晴らしい生態写真本があったとは驚きです。
さらにびっくりしたことに、著者の石澤慈鳥さんは山形県出身、私の大先輩じゃないですか!
農林省で鳥の研究をされていた方だそうで、この本は自宅近くの昆虫たちを撮影したものということです。
東京都内でしょうか?

▲目次の一部。この虫のラインアップは今見てもとっても魅力的です。

昭和10年代、いったいどんなカメラで撮影したものでしょう。
それより、こうした本を作ろうとされた姿勢が、なんと尊く感じられます。

「・・・場所は自分の住んでいる家の周りや集落*付近だけでも充分である。観察は四季を通して行い、各自の集落*付近の昆虫暦を作ってみることも有益である。またカメラを所持する人は人物や風景ばかり撮影していないで、昆虫の生態などにもカメラを向けられるようにおすすめしたい。」(はしがきより)
まるで最近のブログのすすめか何かのようです。
昭和15年という時代に、カメラを持って自然を見つめようと呼びかける方があったとは・・・

路傍の昆虫というタイトルも実に洒落ています。すごくいい感じ・・・すっかりお気に入りとなってしまいました。
以前から自分のブログはタイトルがよくないと言われていて、何かいい言葉を浮かんだら変えたいと思っていましたが、今がその時、そう感じました。今日からブログのタイトルを「ろぼうの虫と」と変えることにしました。

※ろぼうを漢字にしてみたり、「たち」を入れてみたり、少しずつ変えています。
しっくりくるまでは、まだしばらくかかるかもしれません。


“路傍の昆蟲” への5件のフィードバック
  1. 宇佐美 信一

    高嶋さま、大変面白そうな本ですね。戦前から、しっかりと和名がついているのもすごいと思いました。
    改めて、先人の偉大さを感じました。

  2. お久しぶりです。御無沙汰しております。
    ブログもちょっと間が空いていたので気になっておりました。
    1940年、自分が生まれた年です。それよりも、どうしてご自宅にあったのでしょう。家族の方が読まれたものですか・・。昆虫は血統ですか・・!!
    載せられた写真を見るだけでも、この時代に接写に近い撮り方ができるってすごい技術ですよね。現像して画が見れる時代です。

  3. 高嶋清明

    コメントありがとうございました!
    1969年生まれの自分には、戦前・戦中は歴史の教科書に出てくる「昔」だったのに、年を重ねるごとに近くなっていくような感じがしています。実際はどんどん「昔」になっているはずなのに、不思議なことだと思います。で、「路傍の昆蟲」でまたその感を強めました。ホント!今風な本なのです。
    今、私が住んでいるのは、妻のお祖父さんのお家で、なんと築80年!!奥が深くて、色んなものが出てくるんです。あ、だから血筋というわけではないのですが、精神のようなものは繋いでいきたいと思います。

  4. 匿名

     私もこの本持っているのですが、素晴らしい本ですよね。今の何倍も苦労して撮られているのでしょうね。

  5. 高嶋清明

    嬉しいですね!きっと日本全国、かなりの数が本棚を飾っているのではないでしょうか。
    いつまでも古本にならない、素晴らしい本だと思います。
    チョウの吸蜜シーンですとか、アシナガバチの狩りですとか、動きのあるものもしっかり写っていて恐ろしくなります。

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