Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

ウスイロササキリの声

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▲草地に多いウスイロササキリ。鳴き声は高くチーンと鋭く響く。

ウスイロササキリの鳴き声をPodcastにアップした。ファイル形式は320kbpsのMP3。今まで録音した音を聞き直したときに、何か違う感じがすることがあったが、これならいいんじゃないだろうか。だいぶ実際の音に近づいたように思う。実は今回新しいレコーダーで録音している。

新しいレコーダーはZoom H6。長年使い続けている音声レコーダーRoland R-09HRは、まだまだ使えるものの、そろそろ一線を退いてもらうことにした。Zoom H6は今年の春に発表されて気になっていた機種だ。6チャンネル録音ができ、XLRコネクターが4つもついていて、ミキサーいらずな所がすごい。それとすごく気になっていたのが内蔵マイク。ハンディレコーダーの新機種が出る度に、内蔵されてるマイクが相当力が入っているのを見送ってきた。だから最新のレコーダーでXYマイクとMSマイクの両方を持ったH6がどれほどの性能なのかも非常に興味があった。そして、高音部のマイク性能がどんなものかも・・・

ウスイロササキリの鳴き声を録音して、非常にいい結果が得られたので、まず報告したい。Audacityで周波数をチェック、性能の高さを確認できて非常に満足した。

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▲これはMP3変換する前の非圧縮WAVデータのスペクトログラム。虫の声の周波数を調べるなら、この表示が分かりやすいことに、最近になって気がついた(ちょっと遅かったか・・・)。横軸が時間(秒)で縦軸が周波数(kHz)、音量は色で示される。大きな音は赤色、黄色はより強い音だ。20kHz以上の、人間の耳には全く聞こえない音もしっかり記録されていることに注目したい。ZoomH6、内蔵MSマイクで録音。

Podcastの音を聞きながらこのグラフを見ると、どれがウスイロササキリの音か分かるだろう。10kHz〜35kHにハッキリとした音の帯があり、15kHz〜20kHzあたりに時々強い黄色が入る。少し離れた所にウスイロササキリが何匹も鳴いているため、マイクを向けている一匹が中断しているあいだも赤い帯は完全には消えない。5kHz付近に断片的に見える赤い点は、近くで鳴いているエンマコオロギのものだ。

写真の話題からちょっと離れてしまうけど、虫の声の記録は今の私には重要なことに感じている。「鳴く虫の科学」を出したばかりということもあるけれど、高い音が聞こえるのは、もう何年もないかも知れないという焦りが大きい。現在44才の私はまだウマオイの声も聞こえるけれど、たぶんあと10年後には聞こえていないだろう。ウスイロササキリなら5年後だって危ないかも知れない。自分の耳が聞こえるうちにやれることは少なくなってきているし、聞こえなくなってからの事も準備しておきたい。


“ウスイロササキリの声” への2件のフィードバック
  1. ファーブル

    私は4kHz以上の音が聞こえなくなってしまいました。今年の健康診断で判明してショック。そういえば蚊の羽音がほとんど聞こえません・・・

  2. 高嶋清明

    お年の近いファーブルさんがそんな事に・・・私もショックです。コオロギ、スズムシ、カンタンは聞こえるはずですが、実際はどうなのでしょう。ウマオイは、スイッチョンは・・・想像するだけで自分も胸が苦しくなってきました。自分はやれるうちにがんばらなければ・・・そう気持ちを強めました。

    コメント、ありがとうございます!

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