Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

Jecklinディスクを試作

無指向性マイク2本を使っての集音に可能性を感じている。先日録音した波の音では、今まで感じたことのない太い低音に感激した。しかし、音がこもっているような、ウネっているような妙な感じがあって、ステレオ感に満足できなかった。2本のマイクを離しただけではダメとなれば、2本の間にセパレーターを入れればよいのか?・・・いよいよJecklinディスクを試す時がやってきたようだ。
JecklinもSchneiderも海外から取り寄せることはできるはずだが、Wikipediaの情報などを見ては自作できるんじゃないかとずっと思っていた。とりあえず近くのホームセンターで考えられる部材を集めてみた。吸音材には前から目をつけていたカーステレオ用の商品に決めた。必要な量を1日で集めることができたからだ。

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▲とりあえず頭に描いたものを組み上げた。実は直径30cmでよかったらしいが、Wikiの記述を読み違えて、35cmにしてしまった。Wikiを見るとJecklinご本人が35cmに理論修正したように見えるんだが、定説は30cmのままのようだ(なのか?)。そもそも、ぴったり直径30cmというのもナンだかなあ。そこは厳密なものではないように思うのだ。他の部分だって、板の厚さも、フォームの材質も厚さもだいたいで作ってしまった。セパレーターのエッジは音の回折を考慮しているらしいから、重要なんだろうけど。
まあいいや、みな「個性」とか「味」と思うことにしよう。試作なんですから。でも、またガラクタを作ってしまったかなあと、ちょっぴり不安にもなった。

ところが、実際に外に持ち出して録音テストしてみたら、余計な心配は吹き飛んだ。おやおや?ちょっといいんじゃない?一聴して、顔がにやけてくるほど効果を感じることができたのだ。

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▲岩場で波の音もテスト録音。マイク間隔は16.5cmという説に従った。が、これもだいたい。自分の両耳の間隔がちょうどそんなサイズと気がついて、以来メジャーで測っていない。ORTFの17cmというのもそうだが、要するに人間の耳の間隔に合わせようということらしい。Jecklinさんの新説では、ディスク直径35cmとともに、マイク間隔を倍以上の36cmということだったが、現場でヘッドフォンで確かめた感じでは、やっぱり17cmがいいように思った。

録音した音を再生して気がついたことがある。スピーカーで再生しても、ステレオ像が崩れることはないようだ。Wikiにも、Jecklinディスク方式のステレオ集音は、スピーカー再生向きであると書かれてある。これは嬉しい。今まで自分が録音したものは、だいたいスピーカーで再生するとがっかりすることが多かったからだ。

そこで思い出すのが、ひところ取り憑かれたバイノーラル録音だ。やったのは自分の耳にマイクをセットするリアルヘッド方式。あれも無指向性マイクを使うから、基本、今やっているのと同じようなものだ。だけど、録音時にモニターできないというのが、録音していて面白くない。息を殺して唾を飲み込むのを我慢するのも辛かった。イヤフォン再生が大前提とされていて、確かにスピーカー再生には向かないとも感じた。人ごみの中でこっそり録音するには便利だが、もうあれに戻ることはないかも知れない。

指向性マイクを使ったXYやORTF方式に比べれば、やっぱりこもったような印象はある(ハイパスフィルターを通すべきかもしれない)のだが、きっとこの方式がベストな対象もあるはずだ。それはやっぱり低音がほしいやつ・・・雷とか、水辺のカエルとか、ああ・・・ウシガエルなんて楽しみだ。虫の音だってきっと何かあるだろう。
今回の試作はカーショップで集めた吸音材だけで6000円にも、なってしまったが、結果に満足だ。手応え十分である。


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